
1.概要
火山学に関する地球物理学、地質・岩石学、地球化学、砂防学分野の計測・調査技術を活火山の現場で学ぶため、2026年9月6日から11日までの6日間、北海道の有珠山周辺(洞爺湖町、壮瞥町、伊達市)においてフィールド実習を行いました。
全国12の大学から、地球物理学、地質・岩石学、地球化学、砂防学を専攻する大学院生22名と、「即戦力となる火山人材育成事業」の社会人大学院生1名、教員16名が参加しました。
2.全班共通活動
9月6日
午後に実習期間中の宿泊先へ到着し、栗谷豪教授(北海道大学)による「有珠山の地質岩石」に関する講義と、青山裕教授(北海道大学)による「有珠山の近年の火山活動」に関する講義を行いました。
また、11日まで続く実習のガイダンスと、参加した学生・教員の自己紹介を行いました。
9月7日
山田孝特任教授(北海道大学)による「火山地域での土砂災害の減災・砂防の取り組み」の講義後、巡検のガイダンスを行いました。
金比羅火口散策路の入口から、2000年噴火により泥流被害を受けた建物や砂防施設を見学しました。その後、銀沼火口、大有珠(1853年)、有珠新山(1977~78年)、小有珠(1822年)などの火山地形を観察しました。また、北側外輪山にある北海道大学の火山観測点を見学しました。


3.各班の実習(9月8日~10日)
地球物理学、地質・岩石学、地球化学、砂防学の各コースに分かれて実習を行いました。
受講生は、普段専攻している分野とは異なるコースに配属され、講義の受講、野外観測およびデータ分析を行いました。
地球物理学コース
橋本武志教授(北海道大学)による地磁気観測、磁気探査手法、磁力計の原理についての講義がありました。
野外調査方法を学んだ後、2班に分かれ、橋本教授、青山教授、田中良准教授(北海道大学)の指導のもと、有珠山火口内およびその周辺で地磁気観測を行いました。取得したデータをもとに、有珠山の浅部地下にある地磁気変動源の位置を推定しました。

火口原で全磁力を測定等

設置した観測点で取得したデータの確認
地質・岩石学コース

露頭観察から柱状図の作成
伴雅雄教授(山形大学)による「火山地質概論」と「火山地形概論」の講義がありました。また、栗谷豪教授より、1977~78年噴火の推移や野外調査についての説明がありました。
講義後は、栗谷教授、吉村俊平准教授(北海道大学)、伴教授の指導のもと、有珠山火口縁や銀沼火口内で野外実習を行いました。テフラ層を観察して柱状図を作成し、その結果から噴火推移を推定しました。
さらに、採取した降下軽石サンプルを実体顕微鏡で観察し、発泡度などの測定結果から、マグマの上昇・発泡過程を推定する実習を行いました。

採取岩石を分析するための加工作業
地球化学コース
野上健治教授(東京科学大学)による火山における化学観測と分析についての講義と、森俊哉准教授(東京大学)による火山ガスの土壌拡散放出測定についての講義を受けました。
その後、CO2拡散フラックスの測定機器を自作し、機器の検定や試験観測を実施しました。製作した機器を用いて、有珠山北西斜面で土壌から放出されるCO2拡散フラックスや土壌温度などを測定しました。

自作機器でCO2フラックス測定

解析のための開設を行う講習
砂防学コース
山田孝特任教授による土砂流出と土壌の浸透能に関する講義と、厚井高志特任教授(北海道大学)による噴出物と土砂移動の関係に関する講義がありました。
金比羅火口散策路の入口付近にある「やすらぎの家」において、泥流堆積物の観察・測定を行いました。また、有珠山北西麓の斜面を利用し、斜面勾配と土砂濃度の関係に関する実験と、土壌浸透能に関する実験を行いました。
さらに、土石流が発生する有珠山大平地区で、地形・地質の観察と土石流の流下痕跡調査を行いました。

土壌浸透能の実験

有珠山大平地区の地形・地質観察
4.発表会・講評
最終日の9月11日は、各コースの実習内容をまとめた発表会を行いました。発表後には、受講生による活発な質疑応答が交わされました。
最後に、参加した教員による講評を行い、発表内容に対する評価や、今後に向けた助言などを受講生へ伝えました。

発表会
5.実習参加教員
北海道大学
- 地球物理学:青山裕教授、橋本武志教授、田中良准教授
- 地質・岩石学:栗谷豪教授、吉村俊平准教授
- 砂防学:笠井美青教授、山田孝特任教授、桂真也准教授、南里智之特任教授、厚井高志特任教授
山形大学
- 地質・岩石学:伴雅雄教授
東京大学
- 地球化学:森俊哉准教授
東京科学大学
- 地球化学:野上健治教授
東北大学
- 事務局:西村太志教授、齋藤さやか准教授、西川空良助教
