サブ課題C-3:火砕物オンサイト即時分析システムの開発

概要・実施計画

概要

噴火メカニズムの即時把握による噴火ハザード評価のため、噴出物内のマグマ物質や熱水変質物の量比、マグマ物質の発泡度や結晶度、熱水変質物質の種類などを即時把握する手法を開発する。従来手作業に依存していた火砕物粒子の処理・撮像を自動化し、火山噴火の現場における自動火山灰粒子前処理および顕微鏡画像取得を実現する。画像処理には機械学習による自動処理を導入し、火山灰構成粒子の特徴やそれに基づく噴火のメカニズム推定の支援ツールを開発する。

火砕物粒子の光学顕微画像から、火砕物粒子の岩石学的・組織的特徴を抽出するため、電子顕微鏡等により得られる実際の火砕物粒子の組織・組成特徴量と、デジタル顕微鏡により得られる火砕物粒子の光学的特徴、画像特徴を抽出する。それらの値を入力値とする火砕物粒子の組織・組成特徴量を抽出する機械学習モデルを試作する。機械学習を用いた分類モデルについては、新燃岳2011年・2018年噴火や桜島2025年噴火など過去の噴火において専門家が手作業で分類した噴出物の事例を検証データとして用いて、モデルの再現性を評価するとともに、噴火様式の異なる複数火山・複数噴火での適用試験を通じてモデルの汎用性と安定性を段階的に検証する。 光学画像の取得に適した前処理方法について、洗浄やふるい分けなどの処理の各過程の方法を検討し、処理方法の最適化と処理時間の短縮を目指す。

実施計画

初期

火砕物粒子の光学顕微画像から岩石学的・組織的特徴を抽出するため、電子顕微鏡により得られる組織・組成特徴量と、デジタル顕微鏡画像から得られる光学・画像特徴量の対応関係を整理する。これらの特徴量を入力とする機械学習モデルの試作を行い、火砕物粒子の組織・組成特徴量を推定する手法の基礎開発を進める。あわせて、桜島など活動的火山の火山灰粒子の連続採取を実施し、噴火活動と火砕物粒子の特徴の対応関係を検討する。さらに、粒子洗浄やふるい分けなど、光学画像取得に適した試料前処理方法の検討を行う。

中期

桜島などの活動的火山における火山灰粒子の連続採取を継続し、噴火活動と火砕物粒子の特徴との関係を整理する。さらに阿蘇中岳や口永良部島など熱水系活動が卓越する火山の噴出物にも解析対象を拡張し、マグマ噴火から水蒸気噴火までの多様な火山灰粒子に対して機械学習モデルの適用を進める。また、粒子洗浄・ふるい分け・撮像などの試料前処理工程の自動化を視野に入れた技術開発を進めるとともに、様々な粒子種に対応可能な粒子処理技術の開発を行い、火山灰粒子分類手法の高度化を図る。

後期

機械学習モデルを用いた火山灰粒子の組織・組成特徴量推定手法の高度化を進め、様々な火山の噴火噴出物を対象とした実証試験を実施する。あわせて粒子洗浄・ふるい分け・撮像などの試料処理工程の自動化技術を確立し、火山灰試料処理方法の標準化を進める。最終的に、火山灰粒子画像から組織・組成特徴量を推定する機械学習モデルを構築・公開するとともに、一般化した試料処理手法と併せて火山機動観測への実装を行い、噴火時に迅速に火砕物特性を評価できる解析基盤を整備する。